僕だけでも解決出来るって

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僕だけでも解決出来るって

 電車にのって終点まで。うちの事務所はこの都市(まち)じゃ端っこのほうにある。けっこう田舎。  田んぼは無いけど大きなビルも無い、そんな街の喫茶店の二階部分でひっそりと営業してる。  周囲には住宅街もあるけどスーパーも本屋もあるしモスバーガーもコメダもある。生活をするには「ちょうどいい」そんな街だ。  野良猫もいるし飼われてる外猫もいるし。環境は、悪くない。  お酒飲む場所は無いから、そういう店行きたければ電車乗って数駅行かなきゃだけど、今の僕にはあまり関係ないか。  耕助さんもそんなにそういうお店に行くって事も無いし。  依頼でもなければ、ね。  ガラン  事務所に帰る前に喫茶リコルに寄る。  どうせ今事務所に帰っても耕助さんも居ない。  ちょっとここで奥さんと話してから帰ろうか、って。 「いらっしゃい。あら、真那ちゃんじゃない。今日はそんなスーツ姿でどうしたの? ははーん。リクルート? 転職する気になったの?」 「そんなんじゃないですよー。今日はお仕事で依頼者に会ってきたんですよ!」  もう。僕が氷室事務所辞めるわけないじゃない。 「へー。じゃぁ、もう立派な探偵さんってこと? すごいわねー。どんな依頼?」 「うー。え、と……。ね、こ、です」 「あ、ごめんなさい。よく聞こえなかったけど」 「……、猫探しです……。行方不明の猫探し」  もう。口にするのも恥ずかしい。立派な探偵さんって言われて答えるにはちょっと、ねえ……。 「あら、猫なら真那ちゃんにはぴったりのお仕事じゃない。先生もわかってるのねー」  そりゃ、ぴったりといえばぴったり、かもなんだけど。  ……そうさ、俺たちにはこんな仕事は容易いからな。  (うるさ)い!あんたは黙ってて!  ……そうつれなくするなよ相棒。まあ、今は黙っててやるさ。  もう。ほんとやんなっちゃう。  この事件。ミケコがまだ生きている可能性は低い。  だとしたられっきとした(あやかし)案件だ。  そうであれば確かにあいつの力を借りれば簡単、だろう。  でも。  僕一人でも解決出来るって。  そう、耕助さんに認めて貰いたい。  うん。頑張ろう。
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