化け猫。

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化け猫。

 地面を掘り進むとカツンと硬いものに当たった。  石かと思ったけどなんか違う。  周囲をあたってみると同じ高さで先が当たる。  なんか、金属の平べったいものが埋まってる感じだ。  さて。  どうしようかととりあえず周囲を掘り進めていると。  ぶん!  背後からスコップが振り下ろされた。  ガン  スコップが僕の背後少し手前で何かに当たって止まる。  そう。この程度で死ねるなら、こんなに苦労はしなかった。 「なに!?」  驚愕の声を上げる、男?  後ろから近づいて来ているのは実は分かっていた。決定的な証拠が欲しくて気がつかないふりをしていたんだけど。  ゆっくりと振り返ると其処にはどこかで見た事がある? そんな感じの男性。  顔が段々と狂気に染まっていく。 「なんだ、その目、化け物か! くそ! 」  そう、僕の顔をみて叫ぶ男。でも、その男の身体からは狂気の炎がゆらゆら湧き上がっていた。 「こいつも殺して埋めてやる……」  そいつがそう呟きもう一度スコップを持ち上げてこちらに振り下ろそうとした、その時。 『ああ、美味そうな狂気、だな』  僕の口から出る背筋が凍る、地獄の底から響くような、そんな声。  ああ、もう、制御できない。  金縛りにでもあったように、男の動きが止まる。  顔が恐怖で固まっていた。  そして。  その口が辛うじて、 「ば、け、ね、こ……」  そう、掠れた声で呟いた。  月明かりに照らされた僕の影が、化け猫のシルエットになっていたのがわかった。
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