今日の僕はいつもと違ってた。

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今日の僕はいつもと違ってた。

 そう。  今日の僕はいつもと違ってた。  まず部屋に入るとトイレの窓を開け換気扇をつける。  ゴミ箱を片付けて机の上を片付けて。  そしてポットのスイッチを入れお湯を沸かす。  ここまでがいつものルーティン。  そして。  今日は、朝から美味しいケーキがあるのだ。  昨日のお休み、なんとなく作り始めたチーズケーキ。  焼きあがって落ち着いたケーキを今日、ここに持ってきているのだ。  耕助さん、食べてくれるかな。  美味しいコーヒーでも入れて、耕助さんが起きてくるのを待った。 「おはようございます」 「ああ、おはよう美咲君。きょうも可愛いね」  あは。くしゃっとした髪をもさもさっとかき乱しながら起きてきた耕助さん。  氷室耕助。この氷室探偵所の所長さんだ。  僕は……。  ただのアシスタントだけどね。ここで働き出してもうすぐ一年。  高校を出てすぐこの都会の魔窟に出てきて途方に暮れているところを拾われた。  お給料は少ないけど、耕助さんと一緒にいられるだけで嬉しい。 「ところで……。なんだか甘い匂いがするようだが……」  あ、気づいてくれた。 「チーズケーキ作ったんです。お召し上がりになりますか?」 「ああ、それは美味しそうだね。うん。頂くよ」  コーヒーもちょうどはいったところ。  カップに注いでテーブルに出す。チーズケーキにはフォークをつけて。  今日はとってがねこのしっぽになったお気に入りの猫カップのセット。耕助さんが手に持って、すーっと香りを嗅いで。 「うん。いい香りだ。ああ、このケーキも美味しいね。美咲君はいいお嫁さんになれるよ」  あああ。嬉しい。っていうか僕は耕助さんのお嫁さんになりたいんですケド。  によによとほおに手を当て照れる僕。 「ああ、そういえば今日は新しい依頼が入っていたね」  え? 「行方不明の猫を探してほしい、らしい」  えー?  うちでそんな依頼をうけるんですかー?
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