フライドチキンのおじさんの幸せ

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 二人が通り過ぎたあと、宮本がたまたま同じ店の前を通っていた。  この店。  唯様が連れて帰ろうとしたフライドチキンの人か、と思った宮本は、なんとなくフライドチキンの人に向かい、柏手を叩く。  自分の今の主人と、魂の主人に、いい伴侶を与えてくださり、ありがとうございます、と。  そのとき、おや? と宮本は気がついた。  ほんのわずかにだが、フライドチキンのおじさんの台座の下になにかが覗いていることに。  しゃがんで少しおじさんを動かしてみる。  宝くじが出てきた。 「……本田のか」 と呟き、手に取った。  本田が、見せびらかしていた番号と同じ番号だ。  みんなにおごってもらったりしたのに、本田は運気が下がったとしょげている。  ああいうギャンブラーにとって、もっとも大事なものは、おのれの運気だからだ。  ああ見えて墓参りや墓掃除、初詣なんかには熱心だから、感心だな、と思っていたのだが。  どうやら、それも運気を上げるためのものだったらしい。  だが、運気を上げるためにと、生き仏のようなご老人たちにもやさしいようなので、それはそれでいいことなのだが――。
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