フライドチキンのおじさんの幸せ

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 そんな宮本を物陰から見ているものがいた。  戸締りをすませて帰ろうとしていたこの店の店長だ。  さっきは若い男女が柏手を打っていたし、  ……なにかご利益があるのだろうか、このフライドチキンの人は。  今までただの看板代わりのものと思っていたのだが。  店長はフライドチキンのおじさんの前に、充分ご縁がありますように、と台座に十五円置いて、ぱんぱん、と手を叩いて拝んだ。  明日もいいことありますように。  深々と頭を下げる。  明日はこのおじさん、綺麗に磨いてやろう。  そう思いながら。
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