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Answerとは何か
あの頃の私は、血だらけだった。
毎日が苦痛で、小さな傷を体中にいくつも抱えていた。
それでも懸命に笑顔を振りまいて。
子供たちを必死に育てて。
家事をこなして。
どうにか仕事と主婦を両立して。
血だらけの自分に気づかれないようにして。
きっと、全力投球しすぎていて、心も体も擦り切れていた。
誰でもいい、助けてほしい。
助けて……、助けて。
叫び続けた心のSOSは、なぜか誰にも届かない。
母は、今は辛いだろうけどもう少ししたら終わるからと、人生の先輩らしい慰めを。
夫は優しく、できるだけのことはするからさ、と温かく。
誰もが私に冷たかったわけじゃない。でも私のSOSへのanswerではなかった。
私が欲しかったのはぬるま湯じゃない。
傷に、ぬるま湯は沁みる。それを誰も分かってくれなかった。
あの頃の私が欲しかったのは、傷口の痛みを塞いでくれる直接的なもの。
ゆっくりと効果の出る薬でもない、即効性を求めていた。
じわりと治るのを待てる余裕などなかった。
もう、血が噴き出して止まらない状態。
軽傷を通り越して、私は重傷だった。
だから、すぐさま傷口に沁みる痛みを止め。
まるで絆創膏のようにぺたりと張り付いて、私を守ってくれた――即効性のあるモノに私は縋りついてしまったんだ。
何もかも捨てて。
何もかも、全部。
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