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次の日の午後過ぎ
「では出掛けてきますので
宜しくお願いします」
声を掛けに来た店長は
久々の気合い入りまくりの黒ワンピ
この前のとは違う
前身ごろに金ボタンが並んで
袖が膨らんでる
何着ても似合うからいいんだけど
スカウトとかに声を掛けられてるんじゃなかろーか、、、
恐ろしく目立つし
「分かりました
、、、気を付けて~」
何に気を付けるのか分からないけど、
言ってみた
「ええ、大丈夫です」
って、言い残しドアから消えた
けど、そうなの?
何かしら気を付ける事があるの?!
今度連れていって貰えないかな
離れたところで見てみたい
近くは嫌だ
ほどなくしてコロンと音と共に
「こんにちは」
大工の飯田さんがやってきた
「お久しぶりです」
珍しいと、いうか
あれから初めてかな?
「鈴ちゃんいる?」
話しながらななめに提げた
バッグの中身をゴソゴソして
何かを探してるみたい
「店長少し前に出掛けてしまって」
数時間って言っていたけど
2時間?3時間位?どのくらいだろ
何て言えばいいかな、、
なんて考えてると
「そう、じゃあこれ
鈴ちゃんにお願いしといて」
10センチ程の何かを出してきた
「?」
なんでしょね、これは
「渡しておけばいいんですか?」
確認すると
「うん、宜しくね」
言いながら包んでいた布を
開けはじめた
出てきたのは手のひらサイズの
木彫りの観音様
あら、優しいお顔です
「素敵ですねぇ」
素直に感想をいうと
「いいでしょう、
よーく拝んでおきな~」
そう言って
観音様をするりと撫でて
「じゃあ、頼んだよ」
と勢いよく帰っていった
嵐のように去っていったけど
悪くはない
勝手なイメージだけど
大工さんはそんなもんだ、、
みんなせっかち、、な、気がする
折角出していってくれたので
私も有りがたく拝んでおこう
観音様の目線の高さまで
腰を低くして両手を合わせてみた
…毎日楽しく過ごせますように
観音様微笑んでるような顔してるのね
ありがたいなぁ
お預かりの品なので
大切に扱わないとね
そっと寝せてまた布に包んで置いておくことにします
木彫りのぬくもりって
温かいねえ
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