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二時間もたたない頃
店長が帰ってきた
疲れたみたいでそのまま椅子に
座り目を閉じてる
全く動かず人形みたいに静止して
ちょっとこわいです
「何か飲み物持ってきますか?」
おそるおそる声を掛けたら
「ありがとうございます
甘めの紅茶をお願いできますか」
よかった、
私にも出来る
愛さんが作ってくれたアレは無理
お砂糖は一本でいいのかな?
分からないので砂糖2本とミルク
もつけてみた
「ありがとうございます」
砂糖もミルクも入れて
スプーンでくるくるしながら
「何かありましたか」
と聞いてきた
そうそう、
ありました、ありました。
「飯田さんからお預かりものが
あります」
鈴屋から観音様を取って戻ってくると
店長の顔が、、、、
眉間にシワを寄せて
悪いお顔をしてらっしゃる
「え?」
なんでそんなに嫌悪感ハンパない顔を
全面に出してるんでしょう
「何を預かったんですか?」
と聞くので
「観音様です」
と両手で差し出したけど、
店長は静止したまま
じぃっと私の手を見ている
「なんておっしゃってました?」
そう聞くので
「えーっと、
すずちゃんにお願いしといて、と、
よく拝んでおきな、とも」
思い出しながら言うと
店長は ふぅ、
一息ついてから立ち上がり
面倒そうに電話に手を伸ばした
「椎名です、ご来店頂いたようで
すみませんでした、、、
どうなさったのですか、、、
はい、
はい、
はい、、、、
困りますね、、
ええ、
でも、
嫌です」
買い取りとか修理とか
そんな理由かな、、と、思って
いたんだけど、
今、イヤですって言った?
「お引き取りにいらしてください」
おお
バッサリと拒否した
何が嫌なんだろう
私は観音様をテーブルの上に置いて
電話が終わるのを待つことにした
なんだか観音様も寂しそうな顔に
見えてきたよ
仏像ってよくわかんないけど
見る人の心の持ちようで
変わるのかなぁ
「どうしました?」
いつの間にか電話は終わっていたようで
店長は私に話しかけてきた
「あ、いや、何が嫌なんだろう
と、思って」
かなり素直に口に出してしまった
「ご依頼の内容が困るんです
お話を聞いてお返ししてくれとの事です」
?
困ることはなさそうだが?
「誰かに返すだけですか?」
店長は「ええ」と
頷いた
「何か問題があるんですか?」
返したら喧嘩とか、怒られたり
するのかなぁ?
「私には苦手の分野です」
本当に困ったような顔をして
またため息をついた
そうか、
店長って人見知りっぽいし
なんだか説明足りないし
パッと見、美人だけど怖いし
うん、適役じゃないかも
お話を聞いて、説明して返してくれば
いいんだよね?
そのくらいだったら
私にも出来ると思う
そう思って
「じゃあ、私が返してきますか?」
言った私が馬鹿だった!!
やっぱり店長は説明が無い
言葉が足りない
私には知らないことだらけだった
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