すてきなおしろ

　
　あれはほんとうにすてきなおしろだったなあ。

　テレビ台の下から偶然みつけた本の中の、夏休みにテーマパークのおしろの前でとった写真をみて思う。
　パパがわたしの前で片膝をついて手をさしのべ、わたしが優雅な手つきでその手をとるポーズ。わたしはヒラヒラとしたスカートをきて、それもダンスパーティーで身につけるドレスのようで。
　まるで自分がそのおしろのお姫さまになったようだった。

　たのしかったな。
　わたしは足を床にぱたぱたさせながら思った。
　もう一回やりたいな。

　――もう一回だけ、お姫さまになりたいな。