第11話

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第11話

丁度春休みで良かった。 縁側に立ち、春の風を受けながら青は思った。 なんであんなことしてしまうんだろう? 時々自分が怖くなる。 嫌な思いが渦を巻いて、自分を飲み込んで、真っ黒になって、視野が狭窄してしまって、気がついたら自分を傷つけてる。 今なら、冷静に考えられるのに、そうなってしまった時は、本当に自分でコントロールが利かない。 また、良くない考えが起こったら? また、自分を傷つけようとしたら? どうしたらいいんだろう? それに、 「病……。」 病気に罹っていると新羅は言った。 何の病気? 自分を傷つけることに関係あるのかどうか。 不安が胸を締める。 学校ももうすぐ始まる。 いつまでも、家に込もっていられない。 そうだ、出掛けてみよう。 1人であれやこれや悩んでも仕方ないし、本屋か図書館にでも行って不安に思う事を調べてみればいい。 今日は気分がいい。 「新羅さんの朝食のおかげかなぁ。」 あれを新羅が作ったのかと想像すると自然と笑みが溢れる。 焼おにぎりにお味噌汁に鮭と卵焼き、青菜のおひたし。 日本の定番の朝御飯だ。 しかし、ここのところ、ろくに朝食も摂らず過ごすことが多かった。というか、食欲事態が減退していた。 「今日のご飯はおいしかったなぁ。」 くすくす笑いながら、青は身支度を始めた。
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