79人が本棚に入れています
本棚に追加
第1話
関西竜崎組。
関西を取り仕切る組の中でも一二を争う大所帯だ。組員もヤサも、それはもう、一目でカタギじゃないと解るほどに雄々しく屈強な者達で溢れかえっている。
指がないとか、顔に傷があるとか、そんなものは些細な事に過ぎない。寧ろ迫がつくと言うものである。
そのゴロツキ達を纏め上げているのが、竜崎組組長、竜崎清吉(りゅうざきせいきち)。恰幅のいい体つきで、目付きも鋭く、組長というに申し分ない男だ。
だが、些か年ではある。
隣に控える若頭と若頭補佐が実質、この組を稼働させているモーターであろうことは、容易に想像できる。
若頭は、身長190はあろうかという大男であるが、肩幅も広く、同性でも惚れ惚れしそうなガタイの持ち主である。
続く若頭補佐は、身長は180はあるだろう。若頭とそう変わりはしないが、幾分か線が細い。そして、若頭が肉体派というなれば、補佐は頭脳派であろう。少々神経質そうな顔立ちをしている。
竜崎清吉は、この二人に多大なる信頼を寄せ、身を任せている。
いずれ、若頭の百済景仰(くだらがいこう)が、組を据えるのであろうと噂されている程である。
最初のコメントを投稿しよう!