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ーガラッ
「おっはよぉ〜!」
桜邏が勢いよく引戸式のドアを開けると、殆どの生徒が音のする方に向いたが、桜邏を認識すると嫌がるような表情をして、顔を背けた。
2-Sの殆ど生徒達は、桜邏の事を嫌っており、桜邏の席の周りには空席しか無かった、否、自由席なので、桜邏が座ると周りにいた生徒たちはそそくさと別の席へと向かった。
普通の生徒ならば、いじめと称されるこの生徒達の行動に心を傷付けただろう。
然しながら、見た目と中身がなかなかに違う桜邏は好都合だと、少し静かな席を満喫していた。
─久々に教室来たけど、王道君はまだ来ないし、絵でも描くかな。
そんなクラスの生徒達を見ていた西都は、桜邏に近づいた。
行こうとした時友人に止められたが、西都はお構いなしに歩を進めた。
「ねぇ〜君がぁ、九条 桜邏なのぉ?」
「・・・」
「聞いてるぅ?」
「聞いてますよ?」
なかなか目を合わせようとしない桜邏に、西都は戸惑った。
そんな桜邏の対応にイラついたのか、西都の親衛隊出ある裕真は席を勢いよく立ち、桜邏の方へと向かった。
「ちょっと、九条!西都様が話しかけているって言うのに何でそんな反応してんのさ!?」
「えー、だって桜邏、この人の事知らないしー、興味ないから話す気なーい」
癪に障る言い方をする桜邏に更にイラつく裕真に対し、桜邏は余裕のある煽りを楽しんでいた。
桜邏が腕時計を見ると見下すようだ言い方で、席に座るよう促した。
「でもー、そろそろ先生来るから、座った方がいいよ?ね?」
「はあ?!なんでそんなこと分かるのさ!あんた殆どここに来てないくせに!」
「もー、裕真くん、ホントに来るんだってー!あ、さーん、にーい、いーち、ゼロー!」
ーガラッ
桜邏と裕真の言い合いに傍観していた生徒たちは、桜邏を頭のおかしい奴だと判断していたが、桜邏のゼロと言う合図と共に入ってきた直樹に生徒達は目を丸くしていた。
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