☆止まらない衝動

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律仁はそんなことよりも早くマネージャーから解放されて渉太の元へと行きたかった。 話をしなきゃいけない。 世間に知れ渡ってから渉太に知られてしまうのじゃ遅い。渉太は一人で考え込んで「もう会わない」とか言い出すかもしれないのは阻止したかった。 元々週刊誌がなければ今季のドラマが終わってから話すつもりでいた。 今までで怖くて出来なかった。一般人だと認識されたのをいいことに渉太に律だと意識されたくなかったから隠し通していた。 だけど、律仁の気持ちを変えたのは渉太が辛い過去を話してくれたからだった。 あんなに好きなのに未だに渉太へと繋がる直接的な連絡先を知らないのがもどかしい。 好きだから渉太に近づいたり、その癖保身のために嘘をついて見えない境界線を作ったり……。渉太が知ったら、呆れるどころか軽蔑されるだろうか。 渉太を大切に思うからこそ、ちゃんと会って話して、それでも渉太のことが真剣なのだと伝えなきゃいけない。 律仁は真っ先にバイト先に行くつもりで腕時計を見遣ると時刻は20時半。 事務所から渉太のバイト先まで少し遠いがまだ直接行けばバイト中の渉太に会えるかもしれない。 事務所の地下に降りては駐車場までたどり着き、数歩歩いた所でいつもと違うことに気がつく。 普段であれば吉澤自身も言っていたように仕事以外で過度な干渉はしてこない。 だから仕事が終われば帰りの送迎などは頼まない限り、吉澤は滅多にしてこない。 しかし今日は入口で見送るはずの吉澤がついてきていることに気がついて足を止めては振り返った。 「どこまでついてくんの?」 「当分俺がお前を送る」 吉澤は咳払いをしては顰め面をして応えてきた。 「はい?いや、いいよ。子供じゃないし」 「お前が寄り道しないためにだ」 「寄り道も何もプライベートは任せてくれてたんじゃないの?流石にこの状況で変なことは起こさないよ」 吉澤に送られたら、向かう先は自宅へと一直線これから渉太の元へと行きたい律仁にとっては不都合極まりなかった。
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