*不安は度重なります。

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―――その深夜1:00 「…ッは」  アタシは急な息苦しさで目が覚めてしまった。仕事中からずっと不調だったのは確かだけれど、ここまで心臓が締め付けられているような圧迫感で目が覚める事なんて今までになかったから。  痛みが強くて横になっていられないなんて、初めてだ。  気怠い身体を起こし、サイドテーブルのスタンドの明かりをつけて時間を見て『ふぅ……』と深呼吸をする。 「まだこんな時間か……」  どおりで窓の外は暗いわけだ。21時にはベッドに入って早めに眠りに就けたけれど、結局目が覚めてしまったんじゃ意味がない。  あいかわらずドキドキと心拍数が早く、胸元をギュッと掴みながら声も発せずにいる。  この痛みは不整脈じゃないって事はわかる。それも嫌な予感ばかりがする。だって事故に遭って手術したあと、しばらく残っていた後遺症と似ていたから。  なんだかそう考えたら急に不安が押し寄せてきた。余計な事を考えないようにしないと、もっと悪化しそう。 「煌月……起きてるかな」  こんな時までどうしてアイツが出てくるのか、声に出してる自分に笑いが込み上げる。  それでも、LINEでも送ってみようかなとスマホを手にし、【起きてる?】と送信。  すると少ししてからアイツから一文だけ返信が送られてきた。 【寝てる】  なんだ、起きてんじゃん。打ってる事と中身が違うんだよな。アイツらしいけど。……なんて思っていると、今度は着信が。 『お前、今何時だと思ってんだよ』  あー、やっぱり怒られた。そんな感じはしたけれど『ごめんごめん』って軽く謝罪。  少しだけホッとしたんだ。
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