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第1話 古の村
「行ってきます…お母さん…」
そう言いながらタンスの上にある写真に笑いかけた。
支度をして出かける女の子がいた、彼女の名前は小日向夕暮(こひなたゆうぐれ)両親を交通事故で無くし一人暮らしをしている高校生だ。
自転車で高校へと颯爽と駆け抜ける道は中々見つからない裏道だから人を避けることなく自転車を漕げる。
「夕!!!早く!早く!」
友達が教室の窓から大声で叫んだ。
夕暮は高校の正門に入り急ブレーキをかけて言った。
「ふぅ…ギリギリセーフ!!」
すると後ろから頭をポンっと叩かれた。
「何がギリギリセーフだ…ギリギリアウトだ!」
後ろから頭を叩いた男はジャージ姿のガタイのいい男だった。
夕暮は悔しそうに男を睨んで言った。
「そんなぁ~ちゃんと着いたのに!なんでよ~」
すると、男は言った。
「10分前に正門をぬけないと遅刻だって言ってんのになんで分からないかな?」
すると、夕暮は小さく呟くように言った。
「森田のケチ……」
そう言い残して夕暮は授業へと向かい何事もなく授業を受け朝の遅刻の反省文を書いて帰ることになった。
「はぁ〜やっと終わった~!!!」
夕暮は手を大きく伸ばし体を伸ばした。
「さぁ!帰ろう」
そう言って夕暮は家に帰った。
家に帰り夕暮がくつろいでいると変な声が聞こえた。
「た……す……け…」
「なんか変な声が聞こえる…」
その声と共にポルターガイストのように物音がなり始めた。
「何?」
夕暮は物音がする方に近づいていくとそれは地下から物音が鳴り響いていた。
「地下?えっ…誰かいるの?」
恐る恐る地下に降りると地下の1番奥の部屋から物音がしていた。
夕暮は思いっきり扉を開くとそこは普段地下倉庫の場所ではなくどこかしらの森に放り出された。
「どういうこと…」
夕暮が後ろを振り向くとそこには夕暮が先程開けた地下倉庫の扉はどこにも無かった。
「扉が…ない……」
夕暮は訳が分からずとりあえず森を抜けることにし人を探すことにした。
「何…どうなってるの…誰か人はいないのかな?」
そういいながら森を彷徨っていると夕暮が草をかき分けるとそこには真っ赤に染まった鳥居が立っていた。
「神社…?」
夕暮が鳥居に近づこうとすると後ろから声がした。
「誰だ!!!その鳥居に近づくんじゃない!!!」
夕暮が後ろを向くとそこには弓を持った男が立っていた。
「す!すいません!ちょっと迷子になってしまいまして…」
すると男は弓を夕暮に向けたまま聞いた。
「この村のこの神聖な森にどうやって入った?ここはフォルタの村人でも選ばれた村人しか入ることのできない森なんだぞ!お前…もしや…シーシェインなのか?!」
夕暮は慌てながら誤解を解こうとした。
「いゃ…その…違うくて…」
男は弓を夕暮に当てながら言った。
「敵がどうやってここに入れたのか答えろ!」
そう言われ夕暮はため息を付き言った。
「っていうかさっきからフォルタとかシーシェインとかよく分からない言葉ばかりなんですけど…ここはアメリカとか外国なんですか?」
夕暮は弓を向けたままの男に聞いた。
すると、男は不思議そうに言った。
「アメリカ?それはなんだ?我々の住むこの大和国の他に国と言うものがあると噂で聞いたことがあるが…そのことか?」
夕暮はもう1度男に聞き直した。
「大和国って言いました?」
「あぁ言ったが…お前はこの村の名前もシーシェインのことも知らないのか…なら…お前は誰だ?」
夕暮は言った。
「日本で生まれて日本に育った正真正銘の日本人の女子高生の小日向夕暮(こひなたゆうぐれ)です!」
男は言った。
「日本……それはどこだ?ちょっと迷子かなんだか知らないが怪しすぎるから村に連れていってからお前をどうするか村長に決めてもらう」
「そんな……」
「ついてこい!!!」
そう言われ夕暮は素直について行くことにした。
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