1人が本棚に入れています
本棚に追加
太陽が向こうの方へ沈もうとしているに森の中。
微かに差し込む光の中で、大人たちは声を上げていた。
「優里ちゃん、どこだ」
「居たら返事してくれ」
「川の方、捜索終了しました」
ベテラン捜索員の大川はため息をついた。
「もう、今日は無理だ。また明日出直しだな」
すると若い男は目を見開いた。
「そんな、優里ちゃんはまだ七歳なんですよ。僕の姪と同じくらいです。あんな小さい子なんですよ……。もう少し探しましょう」
「だがなあ、平山。もうここも暗くなる。それに言いたくはないが誘拐って線も……」
プルルル、と大川のガラケーが鳴った。
「はい、大川です。もう合流地点に向かおうと……。え、はい、はい。分かりました」
大川は電話を切ると右手で作った拳を突き上げた。
「皆んな、優里ちゃん見つかったってよ。怪我も無いそうだ」
その場にいた大人五人は喜びの声を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!