自由

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自由

「私は、自由が欲しいの!」 そう高らかに叫ぶ彼女は綺麗だった。 ─── 桜の木の下で寝転がる着物の少女と言っていい程のあどけない少女。 「姫様〜!」 ハアハアと息を切らしながら走る少女。 つい最近侍女になったばかりの羽衣という名の13の少女だ。 私と同い年。 「なあに?気持ちいいわよ、天気いいしね」 寝転がりながら答える。 「そ、そうなんですか……?あっ、じゃなくて、寝転がらないで下さい」 戸惑ったように問うた後、急いで注意する。 このようなところから私の取り扱いにまだ慣れていないことが分かる。慣れていたら困るのだけど。 前の乳母が侍女だった頃は、そりゃもう大変だったもの。 私の事赤ちゃんの頃から見ているものだから、逆らえないし、私の行動は把握されているしで、ね。 「いいじゃない、どうせ誰も見てないわ」 そうここは屋敷の一角、離れの庭。 離れは、私の居場所。 このどデカい屋敷には使用人が数人。 維持費がとんでもないもの! だから、私と私の侍女と護衛が離れは管理しているってわけ。 「と、杜樹さーん!お嬢様があ」 泣きついた先は杜樹という護衛だ。 侍女である羽衣よりも先に仕えていた男。 「ん?いつもの事だろ」 程よく筋肉のついた、がっしりとした男。 顔は強面と言うより、柔和な感じかな。 基本おおらか。 だから、私の身勝手な行動にも少しは目を瞑ってもらえる。 「そうですけど〜……」 納得のいかない羽衣は、ううう……と言う。 「そうよ〜、いつもの事じゃない。慣れなさい」 「「お嬢(様)がそれを言わないでください!!」」 おお、二人息ぴったりじゃない。 でも…… 「なんで?」 キョトンと疑問を口にすると、はあとため息をつかれた。
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