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ホームパーティーへお邪魔させていただくにしても、奏ちゃんが今後忙しくなるのであれば時間を合わせるのは難しいかもしれない。
「奏ちゃん、こっち帰ってこれるの?」
「うーん、まあ先にスケジュール組んじゃえばそこに仕事入れなきゃいいだけだからさ。社長さんも小さい子供いるらしいからそんなに遅くなるのも失礼だしね」
「小さい子供……」
年齢からして、中学生くらいのお子さんがいるのを想像していたため、結婚が遅かったのだうか。なんて考えていた。
「今あっくんも忙しい時期だから平日早く帰ってくるとか無理そうだし、日曜日の昼間とか夕方になるんじゃないかな」
「そっか、そっか。でも、社長さんは日曜日関係なく働いてるんだよね?」
「うん。千愛希さんも休み決まってないって言ってたよ。スケジュール見ながら休める時に休むってさ」
「へぇ……なんか、大変だね」
「でも趣味が仕事になったようなものだから、休みがなくてもそんなに苦痛じゃないってさ。休みでも呼び出されることあるみたいだし」
「えぇー……それ、休みじゃないじゃん」
「まあね。タフだよね」
「うん。とても2つしか離れてないとは思えないよ」
「何それ、おばさん発言」
「お、おばっ!」
私は目を見開いて眉をしかめた。おばさん呼ばわりは許せないぞ。
「しょうがないね。年はとるものだから」
しれっとそんなことを言っている。私だって奏ちゃんと同じ年の時だってあったんだから。
「むー。いいよ、年取ってもあまねくんは好きでいてくれるから」
「うわー、凄い自信……」
「だっておばあちゃんになっても好きでいてくれるって言ったもん」
「そんな感じする。え? 子供生まれてもあんな感じかね?」
「え? ちゃんとパパやってくれそうじゃない?」
「えー……俺のまどかさんとらないでとか子供に言いそうじゃない?」
「……さすがに……」
無きにしも非ず。子煩悩パパになってくれる気満々だったけど……大丈夫かな?
思わぬところから不安を煽られることになった。
「大変な人に好かれちゃったね」
「奏ちゃんのお兄ちゃんだよ」
「時々現実逃避したくなるよ……」
そう言って目頭を押さえている。私と出会ったばかりの頃はあんなにもあまねくん大好きだったのに。やはり彼氏ができると兄弟の扱いなんてそんなものになるのだろうか。
「でも喧嘩するよりはよっぽどいいでしょ」
「前向きだね」
「あまねくんといると嫌でも前向きになるよね」
「……そう?」
「え!? ならない?」
「まどかちゃんだけじゃない? まあ、外面はいいから今回のホームパーティーも問題ないとは思うけど」
「散々な言われよう……」
「だってあっくんだもん。多分千愛希さんから話いってると思うから、都合いい日聞いておいてくれる?」
「あまねくん、今日実家にくるよ?」
「私、もうすぐ帰るからさ。まどかちゃんが暇で家にいるって聞いたから来ただけだし」
そう言って奏ちゃんは綺麗な笑顔を見せた。
その後さっさと帰ってしまった奏ちゃんとの会話を、仕事終わりのあまねくんとするのだった。
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