セカンドライフの歩き方

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 「勇者」の職業を授けて欲しい「チート」スキルも授けて欲しい。 この際だ「遊び人」でも「商人」でも良いからせめて職業とスキルを授け欲しい。神さまは無職無能の人間をこの世に産み落としてそのまま放置しているなら、そんな神は邪神でしかない。 邪神が支配する世界で、無職無能で生きていくくらいなら、このまま死のうと瞳を閉じてうっすらと涙を流した。 これまでの半生が、走馬灯となって脳裏をぐるぐると駆け巡るが、どれも思いだしたくない思い出ばかりで、少年は生まれて来たことを激しく後悔する。  「ぼくは、転生するんだ。転生したら、今のことを全て忘れて、新しい人生になるんだよな」  死を待ちながら、ひとり呟く。  「転生したらチートスキルを持った勇者の職業を授けてくれるといいな。でも転生したらスライムだったなんてオチだけは避けて欲しい」  少年の意識が、次第に薄れていく。
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