セカンドライフの歩き方

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 「おみくじを見せるんですか?」  「人間なら持ってるはずだろう」  「ぼくの職業とスキルを知ってどうするんですか? 勇者だったら殺されるんですか?  魔王だったら逃げるんですか?」  「無職無能」と知られてしまうと何も出来ないとゴブリンたちに殺されて、食われるのではないか。そんな恐怖から、少年はおみくじを見せるのを拒絶した。  「安心しろ、無双スキルを持った戦士や勇者じゃない限り、俺たちは何もしない」  「無双」スキルは言い換えれば「虐殺」スキルであり、それを持った「狂戦士」の職業は「猟奇殺人鬼」とゴブリンたちは認識しているようだ。  「そんなすごいスキルも職業も、ぼくは何もないんですが」  少年はズボンのポケットから、神社のおみくじを取り出してゴブリンたちに見せた。  「これは、白紙のおみくじ? 初めて見るが、どういう意味だ。まさかお前は神が手違いで産み落とされた人間なのか?」  「やっぱり、そうなんでしょうか。何も書いてないから無職無能っていわれます」
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