40人が本棚に入れています
本棚に追加
「おみくじを見せるんですか?」
「人間なら持ってるはずだろう」
「ぼくの職業とスキルを知ってどうするんですか? 勇者だったら殺されるんですか?
魔王だったら逃げるんですか?」
「無職無能」と知られてしまうと何も出来ないとゴブリンたちに殺されて、食われるのではないか。そんな恐怖から、少年はおみくじを見せるのを拒絶した。
「安心しろ、無双スキルを持った戦士や勇者じゃない限り、俺たちは何もしない」
「無双」スキルは言い換えれば「虐殺」スキルであり、それを持った「狂戦士」の職業は「猟奇殺人鬼」とゴブリンたちは認識しているようだ。
「そんなすごいスキルも職業も、ぼくは何もないんですが」
少年はズボンのポケットから、神社のおみくじを取り出してゴブリンたちに見せた。
「これは、白紙のおみくじ? 初めて見るが、どういう意味だ。まさかお前は神が手違いで産み落とされた人間なのか?」
「やっぱり、そうなんでしょうか。何も書いてないから無職無能っていわれます」
最初のコメントを投稿しよう!