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「無職無能か、俺たちからすると無双スキルの狂戦士と比べりゃあ随分ましだよ。無害という点ではな」
「ゴブリン族は狂戦士の無双スキルによって、随分かずを減らされて来た歴史があるんだ。たった一人の出鱈目なスキルに夥しい数のゴブリンの屍が、山の中に転がった。ゴブリン族は対ゴブリンスレイヤー兵器を作って対抗したが、無双スキルの前に手も足も出なかった。神は虐殺させるために職業とスキルを与えたのかと、我々ゴブリン族は信仰を捨てたんだ」
少年は衝撃だった。望んでいたチートスキルが他種族の虐殺に使われていたなど、歴史の授業では聞いたことがなかったのだ。
「そんな......」
「まあ俺たちは採掘スキルを持った職業魔獣に過ぎないがな。ところで人間のボウズ、お前、職業とスキルは欲しいか?」
「それは、欲しいです」少年は即答した。
普通に働けて食べていけるだけの職業とスキルがあれば、ほかには何も望まない。神さまでなくてもいい、例え職業魔獣のゴブリンでも、誰でもかまわないから職業とスキルを与えて下さい。少年は願った。
「覚悟はあるようだな。なら、ボスと面談させてやる」
「ボスが何というかわからんが、ここで働かせて下さいと頭を下げろ。わかったな?」
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