セカンドライフの歩き方

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 「ボス?」  少年はごくりと息を飲んだ。  「キング魔法石採掘所のボス、ルーサー・キング社長だ。面談で採用されれば、お前は採用される」  「無職無能なのに?」  「俺たちに、人間の常識は、無意味なものだボウズ。必要なのはやる気があるかないかだ。ボスは俺たちのテントにいる」  ゴブリンは、先にある大きなテントを指差した。どうやらそこが、ゴブリンたちが休憩したりする詰所になっているようだ。 少年はゴブリンの誘導で、ボスのいるテントに案内される。テントの中には一際体格の大きなゴブリンが椅子に座ってタバコをふかしていた。  「ボス、失礼します。この人間が、ここで働かせて欲しいそうです」  「人間だと? ここで働くだと?」キングは少年に鋭い視線を向ける。  「お願いです、ここで働かせて下さい。無職無能ですが何でもしますっ!」少年は早速頭を下げた。  「無職で無能だから、多少の失敗は大めに見て欲しいか。最近の若い人間は、随分甘ったれた根性してやがるな」  「そうじゃなくて、本当に無職無能なんです。神社のおみくじにそう出ました。それでも一生懸命やります。お願いです、ここで働かせて下さい!」  「じゃあお前は、職業やスキルなんて資格の奴隷になって、それでいいのか。そこまでしてここで働きたいなら、一つだけ条件がある。守れるか?」  キングは少年に、一つの条件を出した。  「条件? ですか?」  「人間を辞めて、ゴブリンになれ。それができなけりゃ、お前は不採用だ」
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