セカンドライフの歩き方

8/120
前へ
/121ページ
次へ
 「人間を、辞めろ?」  キング魔法石採掘所で働く条件は人間廃業して、ゴブリンとして生きるということは、もう人間社会には戻れない。人間の敵になるということだ。 同時に、人間社会で築き上げてきた全ても捨て去るということ。 しかし、少年が築き上げて来たものは、人間社会の冷遇による怒りと、憎しみ、恨みの歴史のみだ。だから人間社会に復讐しようと思ったのだ。そんな人間社会に人間として生き続けても、何も変わらない。 ゴブリンとして、ここで職業とスキルを手にいれて生きていたほうが、遥かにメリットがあるのではないか。 デメリットとして、人間に命を狙われやすくなる存在となるが、自分の存在は既に人間たちから何度も蔑まれている。今さらどう思われても何も変わらない。そんな思いが嫌われる勇気に変わる。  「ぼくは人間を辞めますっ!」  少年ははっきりと言い切った。  「よく決断したな。うちは人間は雇わないんだよ。ロクな思い出がないんだよ。虐殺スキルで一度こてんぱんにされてるからな。じゃあ、採掘所を見学させてやるから、ヤッケを着ろ!」  キングは椅子からゆっくり立ちあがり、テントの出入り口に向かう。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加