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座った後、自然と初めての面談が始まった。もちろんある程度Cinderella社との話は済んでいるが、雇用主として従業員にきちんと挨拶するのも大事なことだと思った。
「三和寛一です。よろしくお願いします、峯野様。」
(うわ、「様」なんか付けてるよ、この人…)
「お話はMr. Pinkからある程度お聞きしているとは思いますけど、改めて確認しますね。」
彩響は用意しておいた書類をテーブルの上に広げた。
「今日から三和さんの職場はこの家になります。勤務時間は9時から18時、休憩時間1時間込みです。それ以外の時間は自由にお過ごしください。」
「承知しました。」
「予め相談して頂いたらこの勤務時間を調整することもできますので、何かあったら言ってください。たまに里帰りとか、そのような事情もできるかと思いますので。」
「結構です。そのような配慮は必要ありません。」
「え…」
冷たい返事に彩響はしばらく言葉を選んだ。なに、休み要らない人もいるの?なぜそんなことを言うのか理由は分からないが、彩響は丁寧に答えを返した。
「だめですよ、ちゃんと休暇は使ってもらわないと。確かにここは一般企業ではないけど、私は三和さんをちゃんとした職員だと思っています。休息も大事にしてください。」
彩響の言葉に三和さんが少し困った顔をする。
「いいえ、休暇を頂いても特にやることが思いつかないので…。」
(仕事人間、っていうことかな…)
趣味が仕事で仕事が趣味だーとか言っている人もいるわけで、まあ彼が悪者だとかおかしい人とは思わない。しかし…彩響は軽く顔を掻き、話を続けた。
「あの…以前も思いましたけど、三和さんって仕事熱心なんですね。」
「え…」
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