着物、おかっぱ、異文化交流

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着物、おかっぱ、異文化交流

 真昼の空が青い。  科学技術と魔法が融合した国、ファーガス王国。その城下町近くの街道を、小柄で童顔の少女が歩いている。  矢絣模様の着物と、濃い朱色の袴。黒髪のおかっぱ頭に椿の髪飾り。頑丈なブーツを履いて、小柄な背丈に似合わない、独特な四角い箱を背負っている。身体は小さくとも、背筋を伸ばして、迷いなく歩く。真っ直ぐに先を見据える瞳は、飴細工のようにころんとした可愛らしい琥珀色だ。  この国では滅多に見られない和装をした彼女は、遥か東からやってきた旅人であり、世界中のものを仕入れ、各地で売り歩く商人でもある。名前は、イサナ。  今まで迷いなく歩いてきたイサナは、ふと足を止めた。そして呆然と目の前に広がる光景を眺める。 「これは……どういうことかしら」  今まで道を舗装していた石畳は途切れ、酷い荒れ地が広がっていた。焼け野原とまではいかないものの、周囲の草木は枯れ果て、そこだけがすっぽりと終末の色をしていた。  しかし遠くにははっきりと町が見える。それにある程度先ではまた石畳で道は舗装されていた。  怪訝そうな目をして荒れ地に足を踏み出す。ざらついた魔力の気配がした。どうやらここで何者かが大きな戦いをしたようだ。きっと、大型の魔物の襲撃でもあったのだろう。この世界では__特にこのあたりの地域では、よくあることだ。
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