着物、おかっぱ、異文化交流

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「極東の国……!」  エドワードの目が輝く。ファーガス王国からは遠く離れた極東の国、そこで打たれたという刀を、エドワードは所持していた。曰く付きの魔剣だが、彼にとっては唯一無二の愛刀である。 「あらご存知なの?それはありがたいわ。私の母国はもう疫病で滅んじゃって、人はもう住めない状態だけどね」  私の帰る場所だってないのよ。  寂しげな言葉すら、彼女はあっけらかんと言い放って見せた。エドワードはそんな彼女に驚いていた。 「あら、そんな悲しそうな顔しないでいいのよ。別にこの世界ではもう珍しいことじゃないでしょう?」 「そう、だが……」  最強の傭兵たるその風格の欠片もないエドワード。イサナはそんな彼を見てクスッと笑った。 「優しいのね、あなた。そんな優しさで戦場に立てるの?」  琥珀色の瞳がきらりと輝きを見せる。挑発とも哀れみともとれる曖昧な表現だった。 「君が言うほど、よくできた人間じゃないさ」  エドワードは肩をすくめた。  その答えに、少女は笑みを深めた。赤い髪飾りが楽しそうに揺れる。 「すてき」 「ありがとう、と言っておくよ」  彼女の瞳の輝きと、その放たれる魔力の異質さに、エドワードは違和感を感じていた。きっと彼女は、ただの異国の行商人ではない。こんなにも小柄で人畜無害そうな容姿をしているが、なにか、ある。  しかし今の自分では何かあっても対処の仕様がないし、休職中の身としては穏やかに過ごしたい。そう思っていると、イサナが突然思い出したように声を上げた。 「あ、そう!それでね、戦人さん。申し訳ないんだけどお城までの道を教えてくれる?久しぶりに来たから街並みが随分変わってて」  さきほど感じた異質な雰囲気とは一変、彼女は穏やかな笑顔を浮かべる。  __おそらく、彼女が大きな問題を起こしたりすることはないだろう。ただの行商人と言い切るには異質すぎるが、だからといって人に害を与えるような素振りはない。 「あぁ、お安い御用だ」  二つ返事で了承したエドワードだったが、彼のその脚の負傷は未だ健在である。
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