着物、おかっぱ、異文化交流

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 市場を通り抜けて、大通りに出る。そろそろ松葉杖をつきながら歩くのに疲れてきた様子のエドワードを見て、イサナは首を傾げる。 「なんであなたはそんな古風な松葉杖なの?この国の技術ならもっと便利なものあるわよね?」  訊かれて当然のことだ。エドワードは小さく頷く。 「ああいう便利な医療機器みたいなものに使われている魔力の波長が俺には合わないんだ。治癒魔法との相性もいまいちで、他の人より効き目が薄いってことも最近わかった。昔はそんなことなかったんだけどな」  といっても、全く彼に治癒魔法の効き目がないわけではない。弱いものなら普通に効果が表れるし、小さな傷はすぐに治る。しかし骨折など大きな怪我になると格段に効き目が薄れ、その結果古風な治療法と、弱い治癒魔法の継続的な使用によって治していくしかなくなるのだ。それも、つい最近になって現れた症状で、とても厄介だった。 「へぇ!中々珍しいケースね。後天性の治癒魔法耐性……生まれつきの魔力の波長と変わったというのは大いにありえるわね」  顎に手を当てて考え込むイサナ。 「うん、今日の仕事が終わったらあなたに薬を調合してあげるわ。体質そのもの……魔力の波長に介入はできないと思うけれど、その折れた脚を元通りにするくらいなら簡単ね」  ケロッとして言い放つ彼女に、エドワードは驚愕する。 「治癒魔法も効かないのに?薬で治るのか?」 「最先端の技術が通用しないなら古風な手段がいちばんよ!安心して。私は昔、故郷では薬師として働いてたから腕には自信あるわ」 「……それは、助かる」 「でもやっぱり、その体質と魔力の波長……なるほどね、納得だわ」  イサナはずいぶんと真剣な眼差しで、何事かぶつぶつと呟いているようだ。  だがそれについて言及する前に目的地に到着してしまったようだ。
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