充電と放電

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 あなたは本物のロックスター。  スポットライトはあなたの為にある。  友達なんていらない。  彼氏もいらない。  あなたが私の、青春だから。  「ありがとー!」  ルイの姿が完全に見えなくなる瞬間に、人生で一番の大きい声で叫んだ。喉がちりちりと痛い。  ぱっと照明が点灯されて、ホールに光が満ちる。  名残惜しいが、余韻に浸っている暇はない。  荷物を持って、そそくさと座席を離れる。うまく人の列に割りこんで、会場から押し出される人波に流されるがまま流された。駅までの道のりを雑踏に揉まれて帰路につく。  夢心地のまま、強制的に現実に引き戻される物寂しさ。何度味わっても慣れることはない。  駅について、無事に快速電車に乗りこんだ。地方からの参戦だから、停車する度に人気が少なくなる電車の雰囲気が、更に寂しさをもたらした。  ルイの歌を聞こうとスマホを開くと、バッテリーが切れて電源が落ちた。けれど、私の生命力の充電は満タンだった。  翌日、ライブの余韻が残るままに登校した。授業中もずっとルイの歌声が耳の奥で響いていた。  放課後はアルバイトに精を出す。  お金が足りなくて、今回のツアーで買えなかったグッズが今さら欲しくなる。悔しくて、店長にシフトを増やして貰った。毎日毎日、ルイに会うためにスーパーのレジを打ち続ける。  また充電できる日まで、放電し続けるのだ。  
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