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木蓮
ゆうらら
ゆうららと鳴く風が運ぶは
清き木蓮の香り
白き花弁の掌に包まれしその香に魅せられ
啓蟄に暖する地面からの
春の息吹にときめく
柔らかき土からの温もりと
木蓮の香り運ぶ風の冷たさに
孤高の横顔を想う
ゆうらら
ゆうららと吹く風に届くは
君の描く夢の透間
夜の雲間を抜けて
届く無欲な奏
巡る泡沫の契り
春の香の宵のなかで
ただ 君を想う
ただ 君を描く
ゆうらら
ゆうららと鳴く風にまかせ
愛しきもとへと
ただ 心だけを
春の香の宵のなかで
瞼閉じ想うヴィオロンの調べ
響く 木蓮の奏
(2020.3.17 )
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