冬の日

1/1
前へ
/23ページ
次へ

冬の日

ほんとうの悲しみは いきなりどんとは来ない気がする じわじわと デスクの上に零れた珈琲が 書類に染みていくように じわじわと じわじわと 私に染みていく だからきっと私は なんでもないときに 泣くんだろう これからもずっと ふとした時に泣くんだろう 思い出すのは きっと笑顔だけだ 「大丈夫!」 いつもそう言ってくれた 頼もしい笑顔だけだ 若い日の君の笑顔を思い出すたびに これからも何度も泣くんだろう なんでもない日に 泣くんだろう 「誰にも言うな」と 戦っていた君は やっぱり、頼もしいキャプテンのまま きっと笑顔のまま 逝った 冬の日に
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加