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冬の日
ほんとうの悲しみは
いきなりどんとは来ない気がする
じわじわと
デスクの上に零れた珈琲が
書類に染みていくように
じわじわと じわじわと
私に染みていく
だからきっと私は
なんでもないときに
泣くんだろう
これからもずっと
ふとした時に泣くんだろう
思い出すのは
きっと笑顔だけだ
「大丈夫!」
いつもそう言ってくれた
頼もしい笑顔だけだ
若い日の君の笑顔を思い出すたびに
これからも何度も泣くんだろう
なんでもない日に
泣くんだろう
「誰にも言うな」と
戦っていた君は
やっぱり、頼もしいキャプテンのまま
きっと笑顔のまま
逝った
冬の日に
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