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群青の空
宵の始まりと
夕焼の終わりが重なる
ほんの短い赤紫の時間
疲れと安堵の溜息が
それぞれに彩に交じる時間
カンコンと響く踏切の向こう
夜のカーテンが開くように
空はゆっくりと群青に染まる
カンコンといつまでも
開かぬ踏切の向こう
少しずつ 少しずつ
私だけをおいてけぼりに
群青の夜のはじまり
カンコンカンコンの音の中
私を染める赤いふたつの光
ウインクをするように揶揄うように
カンコンカンコン
赤紫の中にいなさい
魅惑の世界に染まるには
おまえはまだ拙い
群青の夜に
揺蕩うおとなになったら
あなたは私を見るのでしょうか
カンコンカンコンと鳴る踏切の向こう
群青の夜と私をさえぎる
貨物列車は緑
群青の夜の中に
溶けていくあなたと
私をさえぎる
コンテナも積まず
長い長い緑
(2020.3.21)
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