第1話 縁側の予兆

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第1話 縁側の予兆

 僕は、人間の方がよく分からないよ。  友達になろうって言った加藤君は、僕をパシリ扱いしたし。  憑依体質で可哀想だったから払ってあげたら、中島君は僕にすごく依存しだした。  一緒に勉強して切磋琢磨しよう言ってた佐藤君は、僕が模試で上位に入ると、ライバル心むき出しで離れていった。  占い仲間だと言ってた宮川君は、プロの占い師になりたいと言ってたから、占いの間違いをいろいろ指摘してあげたのに、僕を無視するようになった。  複雑で豹変しがちで裏表がありすぎる。  物の怪は、裏表がありそうなヤツは、そんな顔をしているし、ほとんどは分かりやすいヤツら。  だから物の怪といる方が落ち着く。  仕方ないよ。  姉さんは「もう少し根性出して、人間の友達も作りなさい」と言う。  そうは言ってもね。  友達になりたいと思えないんだもん。  頑固ね、と言われても。  僕が折れるのは、なんか変だと思うもん。 「ねえ。そう思わない?」  猫又のハナさんに言ってみる。  ハナさんは二又の尻尾以外は普通の美しい白猫。目は黄色。本人は金色と言い張るけど。  そんな美猫のハナさんは首をかしげた。 「ですが、疾風様。物の怪の我らは、寄り添えないこともございますよ。」 「人間に寄り添ってもらったこともないよ。」 「疾風クンは、陰陽師の中でも、撫で撫でが上手ランキング、だんとつ1番なのに、なんでかなぁ?」  不思議そうに言ったのは、膝でゴロゴロしてた、ハナさんの息子のタマちゃん。  タマちゃんも二又以外は可愛い子猫。白猫で、目だけはハナさんと違って水色。本人はアクアマリン色と言い張るけど。  タマちゃんを撫でながら僕は答える。 「人間は同級生に撫で撫でしてもらいたいと思わないからね。」  タマちゃんの目がまんまるになった。 「変わってるねぇ。」  ピュアだ。尊い。これだから物の怪の子供は可愛い。
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