4人が本棚に入れています
本棚に追加
第1話 縁側の予兆
僕は、人間の方がよく分からないよ。
友達になろうって言った加藤君は、僕をパシリ扱いしたし。
憑依体質で可哀想だったから払ってあげたら、中島君は僕にすごく依存しだした。
一緒に勉強して切磋琢磨しよう言ってた佐藤君は、僕が模試で上位に入ると、ライバル心むき出しで離れていった。
占い仲間だと言ってた宮川君は、プロの占い師になりたいと言ってたから、占いの間違いをいろいろ指摘してあげたのに、僕を無視するようになった。
複雑で豹変しがちで裏表がありすぎる。
物の怪は、裏表がありそうなヤツは、そんな顔をしているし、ほとんどは分かりやすいヤツら。
だから物の怪といる方が落ち着く。
仕方ないよ。
姉さんは「もう少し根性出して、人間の友達も作りなさい」と言う。
そうは言ってもね。
友達になりたいと思えないんだもん。
頑固ね、と言われても。
僕が折れるのは、なんか変だと思うもん。
「ねえ。そう思わない?」
猫又のハナさんに言ってみる。
ハナさんは二又の尻尾以外は普通の美しい白猫。目は黄色。本人は金色と言い張るけど。
そんな美猫のハナさんは首をかしげた。
「ですが、疾風様。物の怪の我らは、寄り添えないこともございますよ。」
「人間に寄り添ってもらったこともないよ。」
「疾風クンは、陰陽師の中でも、撫で撫でが上手ランキング、だんとつ1番なのに、なんでかなぁ?」
不思議そうに言ったのは、膝でゴロゴロしてた、ハナさんの息子のタマちゃん。
タマちゃんも二又以外は可愛い子猫。白猫で、目だけはハナさんと違って水色。本人はアクアマリン色と言い張るけど。
タマちゃんを撫でながら僕は答える。
「人間は同級生に撫で撫でしてもらいたいと思わないからね。」
タマちゃんの目がまんまるになった。
「変わってるねぇ。」
ピュアだ。尊い。これだから物の怪の子供は可愛い。
最初のコメントを投稿しよう!