縁側の予兆 2

1/1
前へ
/16ページ
次へ

縁側の予兆 2

 タマちゃんの毛並みは、やわふわ。  僕の撫で撫でが大好きなタマちゃんは幸せそうだ。ゴロゴロして可愛い。  ハナさんがため息ついた。 「今年は、中学最後の年ですし、桜を一緒に見てくれるお友達ができたらいいですね。」 「人間の友達、ほんとにいらないけど。」 「ではせめて、ヒトガタのお友達ができたらいいですね。」  今日のハナさんは、なかなか引き下がらない。そんなに心配しなくてもいいのに。  ヒトガタ。力の強い物の怪に多い。 人間社会に紛れているのを時々見かけるけど、同世代に見える者には街中で会ったことがない。  なんで?と、以前聞いた事がある。  庭に遊びに来ていた鴉のテンくんは、 「バレないためには色々面倒くさいんだって。それをやれる気の長さが、若い人にはないからじゃない?」  と、言っていた。  テンくんの主人の鴉天狗たちも山の中から出るつもりはないらしい。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加