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僕は猶も笑いながら振り向くと、いじめっ子の一人が僕の所へやって来るのが分かって自ずと笑えなくなった。
「おい!こんなところにいたのか!」
僕は聡美ちゃんが横で見ているから勇気を振り絞って強気の態度でいじめっ子を見上げた。
「おい!何、黙ってんだ!」
僕は黙った儘、いじめっ子を睨みつけた。
「おい!早くみんなの所へ来い!」と言っていじめっ子が僕の腕を掴もうとすると、僕はその手を振り払いながら立ち上がった。
「な、なんだ!お前!」
僕は依然としていじめっ子を睨みつけながら言った。
「僕と尋常に勝負しろ!」
「な、なんだと!生意気言いやがって!よし、お前なんかこてんぱんにやっつけてやる!こっちへ来い!」
いじめっ子はそう言うと、中庭の中央に生え、紅葉する楓の方へ歩いて行った。
僕は聡美ちゃんの視線を背中にひしひしと感じ、紅葉をさくさくと踏みしめながらついて行った。
すると、いじめっ子は振り向きざま僕の頬を強か殴った。
かなり痛かったが、僕は全く怯まなかった。
それどころか奇襲だと思って闘志に火がついた僕は、聡美ちゃんの視線を強く意識すると、真紅の紅葉のような闘志の炎がめらめらと燃え上がった。
絶対、負けられない戦い。
この時の僕の気迫は物凄かった。
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