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僕は倍返しとばかりにダブルパンチをいじめっ子にお見舞いし、一気に優勢に立った。
その後もいじめっ子は僕の気迫の前に圧倒され、物の数ではなかった。
いじめっ子は独りだとこんなもんなのかとさえ思った。
敗色濃厚になると、いじめっ子は泣きべそをかきながら僕から離れ、石ころを拾っては投げつけて来た。
卑怯者!と叫ぶや、僕はいじめっ子に突進して体当たりしていじめっ子を押し倒し、いじめっ子の腹にまたがって往復びんたを食らわしてから胸ぐらを掴んで絶叫した。
「おい!参ったか!」
「う、うん。」といじめっ子は嗚咽しながら答えた。
「もう、いじめはしないか!」
「う、うん。」といじめっ子は一層、嗚咽しながら答えた。
だから僕は満足して、すっくと立ち上がり、仁王立ちして、「とっとと失せろ!」と言い放つと、いじめっ子は泣きながらよれよれと立ち上がり、蹌踉と退散した。
すると、聡美ちゃんが喜び勇んで僕の所へ駆けつけて来た。
「お兄ちゃん!かっこい~!つよ~い!」
「へへへ!」と僕が照れ笑いすると、聡美ちゃんは僕の顔をまじまじと見て言った。
「やっぱり、お兄ちゃんは本物の勇者だ!」
僕は錦色に輝く紅葉に包まれながら会心の笑みを浮かべ、聡美ちゃんのお陰だよと思った。
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