本物の勇者

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 その後、いじめっ子と入れ替わるように僕らの所へ大きな生徒がやって来た。 「君、気を付けた方が良いよ。」  僕は彼の名札を見て最上級生だと分かって彼の顔を見上げた。 「さっき君がやっつけた生徒がねえ、泣きながら袋叩きにしてやるって呟いて僕と擦れ違ったんだ。」 「えっ!」と僕が叫ぶように呟くと、最上級生は言った。 「ま、大丈夫だ。僕が注意してやるから。さあ、兎見ようよ。君達、兎見てたんだろ。」 「はい!」と僕は返事すると、聡美ちゃんと一緒に最上級生の後をついて行った。  僕らは兎小屋の前へ行くと、最上級生はしゃがみ込み、持っていたチモシーの恵みとパッケージに記されてあるパックからペレット状の物を取り出して金網の穴に差し込んだ。  すると、食いしん坊の大関が真っ先に寄って来て続いて他の兎たちも寄って来た。 「僕、飼育委員なんだ。」と最上級生は言った。
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