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彼はお巡りさんと何やらもめ始めたので、オレは思わず間に入ろうとした。
「あ、あれ?刀…ではなさげ?」
刀を抜いたはずだったのに、刀身がない。つまり柄しかなかったのだ。それが明らかになった途端、彼は顔中を真っ赤にして柄をお巡りさんから取り上げると、交番を勢いよく飛び出していった。
「ちょっと!待って!アンタ!」
お巡りさんはその後を追いかけようとしたが、オレはその手を止めた。少ながらず、オレは彼のプライドに同情せずにはいられなくなったのだ。
「お巡りさん、オレ、追いかけますから。それと、怪しいと感じたらまた彼を連れてきますから、そのときは保護をお願いします!」
「いや、でもあれは…」
「それと、さっきの刀は柄だけだったから、銃刀法違反はナシですよね?」
「あ、ああ、まぁそうだけど」
「じゃ、急ぐので!」
オレは早口でそうまくし立てると、交番の入り口から飛び出すようにして彼の後を追いかけた。
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