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結局オレは深夜の胃袋事情を顧慮してあっさりしょうゆ味を選んだ。本当は腹が減って仕方がなかったけれど、翌朝の体調が心配だったのだ。
レジで会計をする間も、六衛門は目を丸くしていた。大げさすぎるほどの驚き方といったら…。
「これは何なのだ?なぜ光って文字が出ておるのだ?」
「おお!ジャラジャラと出てきたものは何だ?銭か?」
本当はスマホで会計をしようとしたが、ポケットに小銭が沢山あったので、それで会計をしたのだ。
「…………」
片手で受け取ったレシートの上に載せられたつり銭を見て、六衛門は顔を青くした。
「どうかした?」
「………オレの懐に入っている銭で半分を其の方に返したかったのだが…」
六衛門は布を紐でぐるぐる巻きした袋のようなものから寛永通宝の四文銭を3枚取り出してオレに渡そうとしていた。
「え?…マジで?」
さすがにここまでリアルになってくるとオレは段々六衛門が本当に現代の人間ではないのでは?と思い始めた。深夜スーパーでの会話といい、此処が東京だということも解らなかった。そもそも空から落ちてくるという登場の仕方も妙だった。もしかして、もしかすると彼は本当にタイムスリップしてきた古人ではないだろうか?
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