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仮入部最終日の終了後、校内放送で「仮入部が終了しました。1年生は速やかに下校しましょう。」と流れた直後のことだった。
「あれ、仮入部、毎日吹部に来てるよね?」
廊下の端に並べてあったリュックサックを背負っていると、2年生の先輩が舞莉に話しかけた。その先輩は近所に住む、明石妙先輩だ。小さい頃から一緒に遊んでいたせいか『先輩』と呼ぶのに抵抗がある。敬語で話すのも。
帰る気マンマンですっかりオフモードだった舞莉に不意打ちが来た。
「はい、吹奏楽部にしか目がないので。」
「ていうことは、舞ちゃん、吹部に入るの?」
「そうですね、入部届はもう書いたのであとは提出するだけです。」
「もう入部届書いたの?嬉しいなぁ!何の楽器やりたいの?」
「クラリネットです。」
「えっ、ほんとに!?」
この反応で言うまでもなく、明石先輩はクラリネットパートなのだ。
「来週の本入部、楽しみにしてるね!」
「はい!では、さようなら。」
先輩に手を振られ会釈すると、階段を降りていった。
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