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「私は顧問の森本清朗(もりもと せいろう)です。今年から南中に赴任しました。よろしくお願いします。」
先生は「さて。」と手を叩く。
「今年は26人の1年生が入部しました。1年生も合わせて74人の仲間とこれから過ごします。みんなで協力し、互いに上達していきましょう。」
すかさず、先輩たちが返事をする。
「高橋先生、お願いします。」
上野先輩が促すと、高橋先生は「あっ。」と少し驚いた様子で1歩前に出る。
「副顧問の高橋亜彩美(たかはし あさみ)です。美術部の副顧問と兼任しているのであまり顔は出せないと思います。たまに子どもを連れて来ようかと思っているので、その時はよろしくお願いします。」
高橋先生が『子ども』と言ったとたんに、先輩たちの頬が緩んだ。何せ、ここの吹奏楽部は9割が女子部員だからだ。小さい子が好きな人も多いだろう。
「あと、外部指導の荒城政男(あらき まさお)先生もいらっしゃいます。土日にいらっしゃると思います。」
森本先生が付け加えて、上野先輩に振る。
「それでは、3年生は楽器体験の準備、2年生は個人練、1年生は楽器体験の準備が終わるまで待っていてください。」
例のごとく「はいっ!」の声が響いた。
舞莉たち1年生は3・4人のグループを組まされ、15分ごとに各パートを周り、楽器体験をした。今週の土曜日の『パート決め』、通称『オーディション』まではずっと続くらしい。
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