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⒈ 入部
ぶかぶかの制服を身にまとった舞莉は、入学式を終えて教室にいた。制服の袖のボタンと机がこすれて、カチャカチャと鳴るのがまだ慣れない。隣の人は外国人、いえ、苗字は漢字なのでハーフの女の子。
すると、さっき紹介された担任が入ってきた。新採用の先生である。
「あまり時間がないのですが、軽く自己紹介します。名前は田辺淳史(たなべ あつし)と言います。今年から先生になったばかりで慣れない面もあると思います。ですが、お互い『一年生』です。助け合いながら中学校生活を送りましょう。よろしくお願いします。」
小学校の時は、一度も新採用の先生が担任にはなっていなかったので、不安もあるが、先生としてどのようになっていくかと思っていた。
……完全に上から目線である。
今までのことで気づいたかもしれないが、舞莉の思考は、同級生より大概年上な発想をする。良く言えば大人な発想ができるといえるが、悪く言えば ばば臭いといえるだろう。同級生には「よく分からない人」や「不思議ちゃん」とも思われているらしい。
まず舞莉にはほとんどの人が寄らなく、流行りに鈍感な舞莉はすぐに話題からついていけなくなる。そんなこんなで友だちがいないのだ。
当の本人は、どうすれば寄ってきてくれるのか、未だに見いだせずにいる。
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