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仮入部2日目。ポスターによると、今日から仮入部が終わるまで楽器体験ができるらしい。
舞莉はもはや当たり前のように音楽室にいた。
「何の楽器吹けるのかな。クラリネット吹いてみたい。」
机の上の4本のクラリネット。舞莉には、もはやそれらしか見えていない。
舞莉の見えていない領域には、ドアから見て 前の方に木管楽器、中央にホルン、後ろの方にトランペットとトロンボーン、右の方にユーフォニアムとチューバ、左の方にパーカッション、という具合で体験スペースが設けられている。
「そこの5人、フルートに行ってくれる?」
舞莉の近くにいた人も含め、先輩に手招きされて連れていかれた。
写真とか、遠目の実物なら見たことがあったけれど、近くで見るとこんなに細かいパーツがあるんだな、と舞莉は思った。
まずは頭部管という、息を当てる部分だけで音を出す練習をした。先輩がお手本を見せ、舞莉たちはそれを真似する。
音が出る構造としては、ペットボトルの口に息を吹きかけるとボォーっと音が鳴るのと同じ仕組みだ。
頭部管で音が出せた舞莉は先輩に全てを組み立ててもらい、それを構える。ここで気づいた。
……指を押さえるところが指の数より明らかに多い。どこを押さえるんだ?
「ここと、そうそう、あー、こっちを押さえて。」
先輩に指示されるがままに押さえて、これが「ド」の音らしい。
しばらくして、トロンボーンの人が手を叩いた。
「回してください。」
「ド」と「レ」の音を出しただけで、もう次の楽器のところに行かなければいけなくなった。
「ありがとうございました。」
教えてくれた先輩に一応、お礼を言っておく。
「はいはーい、次は隣のクラのところね。」
クラとはクラリネットの略称である……えっ、クラリネット!?
ついにあの、クラリネットが吹けるんだ……!
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