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序章
――皇国歴1908年、11月4日。東西戦争開戦。
世界の中心として君臨する皇国フヱルガールド。
最速の科学立国、ウォルタンス共和国と西側諸国連合国家。
旧態依然とした立法と制度に長きに渡り苦しめられ、疲れ切った西側諸国はウォルタンス共和国の時の為政者、ド・ジョグネスを筆頭に独立を宣言。皇国はこれを認めず、暫し小競り合いがあったが、ウォルタンス共和国の外交官が皇国にて暗殺されたことを受け一気に世論は戦争へと傾いた。その中で急進派が軍の命令を無視して皇国との国境付近の港に爆撃を落とし、開戦の火蓋が切られた。この一連の出来事は、外交官の名にちなんで「ジョンの火蓋」と呼ばれた。
大陸を二分したその戦いは混迷を極め、開戦からすでに五年経とうとしていても、その争いは鉄と血を流し続けた。
この物語は、戦争を終結させたある一人の少女と兵士が結んだ小さな愛の軌跡である。
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