それでも、彼は確かに英雄だった

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地球のどこかにある小さな小さな国では、悪政が敷かれ、上の立場の者は私服を肥やしていたが、民衆は貧しくいつも飢えていた。 そんな貧しい国の中でも特別に貧しく小さな村で生まれたのが、後に英雄と呼ばれることになるウィル。そして、彼にいつも付き従っていたフィンだった。 隣同士の家に生まれたウィルとフィンは、偶然にも同じ日に生まれ、その後も二人で一緒に大人になっていった。ウィルの父が病気で亡くなった時も、貧しさからフィンの姉が人さらいにさらわれた時も、二人はいつも一緒だったのだ。 貧しいこの国を変え、飢えに苦しむ村の人たちを助けるため、ウィルが腐敗政府を倒すと言った時は、フィンだけが彼に同意した。 今日を生き抜けるかも分からないのに、腐敗政府を倒し未来を手に入れるなんてバカバカしい。そんなこと出来るわけがない。 周りの人たちはそう言ってまともに取り合わなかったが、フィンだけがウィルなら出来ると信じ、ウィルに一生ついていくと誓った。 初めは、ウィルとフィンだけだった。 誰もが今日を生きることに必死で、抵抗する気力さえも失っていたが、やがて、ウィルの熱い言葉と不思議な輝きのある瞳に心を動かされる者が一人、二人と増えていった。 ウィルなら、本当にこの国の未来を変えられるのかもしれない。 そう思った人たちが次々にウィルの元に集い、いつしかそれは強大な数になった。 そして、ウィルを中心に武器を持って戦い、時の運も味方したことで、本当に腐敗政府を倒してしまったのだ。
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