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大家さんは事前に承諾済みのようだ。今ってさ、無断で人を撮ると訴えられる時代だもんね。
もっとも、大家さんはそれで声を荒げたりしないだろうけど、昔はテレビがさ、ドッキリと称して人を脅かして、本人の承諾なしに放送とかしていたそうだ。今じゃ考えられないね。
……あれ? ぼくも承諾はしていないような?
「しかしカメラってのは、ビデオカメラのことだったんだねえ。あたしゃてっきり、写真を撮るキャメラかと思ってたさね」
なんだよキャメラって。カメラはカメラだと思うのだが。
「それも記念に残したいと思ってます。今はスマートフォンでも簡単に写真が撮れますし……一枚いかがですか?」
愛理がスマホを大家さんに向けた。
「やめとくれよ。写真なんて撮られると魂が抜けるっていうじゃないか」
いつの時代の話だっ‼
危うく口から出かかった言葉を呑み込み、心の中で突っ込む。
余談だが愛理のスマホの写真フォルダは、ほぼくうたろうで埋め尽くされている。
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