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「所長」
「ちょいとアンタ」
「新妻くぅん」
「先生っ」
「ごっつあんです」
「ニャ~」
「ぬ、ぬああーっ‼ うるさーい‼」
もうワケが分からなくなり、思わず地面に背をつけて腰を上げる。『ブリッジ』の体勢をとった。
「あ、新妻くぅん」
「ちょいとアンタ、なにやってんだい」
「みんなー止めないでくれー‼」
「せ、先生。止めはしませんが、その行動に何の意味が……」
「意味なんてない!」
「所長、やめてください‼」
「止めないでくれ愛理。この姿勢のままワサワサ動いてやるー‼」
「お客様が来てますけど……」
え!?
ブリッジの体制のまま入り口を見ると、半身だけ事務所内に足を踏み入れたご婦人がひきつった笑顔で立っていた。
バタン。
扉が閉められた。
こうして新妻探偵事務所は、1人客を失った。
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