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とりあえずこの空気に飽きた俺は奴を蹴り起こしてやった。
感謝しろよな、床で寝てると風邪ひくんだから。
「えと………ここどこ?」
起きた第一声が首を回しながらの場所確認とは…。
さっきまで一緒にいたハーレムメンバーは気にならないのか。
気にしないだろうな。
なにせ奴は女どもを侍らせ増やしながらもその好意に気づかない鈍感ときた。
「あ、アゲハ!ここどこ?」
そして馬鹿である。全力で馬鹿である。
俺も同じ状況なのだから尋ねても本来はわかるまいに。
わかるがな!説明はしてやらん。
俺はこいつがよくわからん勘違いで無駄に突進していくのを見るのが愉しみで仕方ないんだ。
アゲハ「あの…説明してくれる方は?」
だから俺は処世術を覚えた。
存在感を薄くし下手に出て、目立たなければ俺より隣の馬鹿イケメンに注目が集まる。
神の空間でもそれとなく小物感を出しておけば「改心した」と騙せたしな。
さて、では国王が長ったらしい前口上付きで勇者に説明していることを簡潔に説明しよう。
ここは剣や魔法の飛び交う世界。
最近魔物が活性化して魔王が復活したと思われるから勇者として魔王を倒してくれ、だ。
奴は「倒す」と即答していたが、大丈夫か?
地球のチンピラにフルボッコにされる奴だぞ?
ちなみに俺も魔王討伐に参加するか尋ねられたので「できる限りで」と答えておいた。
魔王だからな!
ただ可能性は低いが、俺が離れていた間に新しい魔王ができているかもしれんな。
それも含めて、勇者覚醒の儀式である「覚醒の泉」という名の水風呂で確認するとしよう。
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