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 一難去ってまた一難。一つの災難が去っても続けて災難が訪れるとされる有名な諺である。  応募まで残り二日。  本来、書き上げた小説は数日見ようとしない期間を作る事が良いとされる。書き上げた興奮を抑え、冷静な頭で見直すようにとの事である。しかし今の明楽にそんな悠長な時間は無かった。  推理ショー以前は、長くて何カ月も前から見てすらいないのだから、休ませたも同然と、投稿サイトへ文章をコピーして修正作業に取り掛かった。  毎度のことながら、なぜ書いている時はちゃんと書けている筈なのに、こうも律儀に誤字脱字が存在し、文法が変な部分の違和感に当時は気づかないのだろうか。  それもこれも、興奮して物語に専念しているがために、文章事態は出来ていると錯覚されての事なのだろうか。  疑問に思った所で、脳科学者でも心理学者でもないのだから分かりはしないし、今は知る必要のない事だ。 『時間がない、下らんことをほざく前にさっさとしろ』丁度修正作業が勇正の台詞の所である。  まったくもって頭の中ではなく、こんな所まで指摘が絶妙だと、この作品は何か自分に変化を与えてくれるのではないだろうかと錯覚してしまいそうになる。  とにかく、もう悠長にしていられる時間はなく、この修正作業は思いのほか時間を食う。少しでも怠けてしまうと明日の締め切りまで間に合わなくなってしまう。  明楽は作業のピッチを心なしか上げた。  そして応募締め切り当日。  明楽は約一日しか休ませていない推理ショーから犯人の告白、そしてエピローグまでの投稿作業にかかった。何故か不思議と、この部分はあれ程苦戦していたが、投稿まではサクサク進み、その日の夕方には全てを投稿するまでに至った。  後はタイトルと紹介文とタグなどを書けばいいだけ。そこまで行くとまたも夕食を取り、風呂に入り、落ち着いた所で残りの全てを書き上げた。  どうにかこうにか、明楽は締め切りまで間に合い、完結済みにした事を確認して公開した。そしてそのまま締め切りまで四時間を残す中、倫之助の探偵小説をミステリー部門コンテストに応募する事が出来た。  無事に一仕事を終えた明楽は、そのまま何かをする事なく、気持ちよく床に就いた。  そして月日は過ぎ、コンテストの中間発表を迎えた。
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