あなたの手

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目を閉じるひいばあちゃんの横に座り、手に触れる。 自分でも不思議だった。 こんな時ですら、私はひいばあちゃんに甘えたい、と思っている。 7歳から10歳まで学校に行けなかった私は、まるで親戚中の厄介者だった。 なぜ、学校に行けないのか、誰にも話していない。 ママにしか、話していない。 「お前は本当に疫病神みたいな顔してるな。だから、いじめられるんだよ」 どれだけ説得しても学校に行かない私に、ママはそんな風に言った。 泣くことすら、許されない、と思った。 泣いたら、私の一部が漏れ出してしまう。 それは恐怖でしかなかった。 そんなとき、ひいばあちゃんが1人で住んでいた、小さくておとぎ話に出てきそうな一軒家に足が向く。
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