1.ヒーローなんてしたくねぇ

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気まずくなってきたおれは、 とりあえずなぐさめることにした。 「まぁ、なんだ、元気だせよ。おまえ、その(ウデ)、だいじょうぶかよ?」 地面に転がるちぎれた腕を、沈んだ面持(おもも)ちで拾いながら。 「役立たずだよ、こんなもの……」 飛鳥はネガティブなことを言った。 「わたしはどうせサイボーグだから、『代わり』はいくらだってきくんだ」 (暗い暗い暗い! 勘弁(カンベン)してくれ!) 「……おれたち『ペア』になったんだから、おまえの代わりなんていらねぇよ。今度からおれに武器向けんなよ? (ヒツジ)ってのは臆病なんだ」 おれがぎこちなくそう言うと、 飛鳥はさすがにハッとしたのか、 ちぎれた右手をおれに向け、 「どうぞ」とばかりに差しだしてきた。 「……なんだよ?」 「『握手』しよう……」 いやいやいや、 こえーよ、オマエ。 飛鳥のちぎれた右腕と、シュールな絵面でがっちり握手。 と、その時。 「ピロリロリ……」
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